理事長あいさつ
第12回レギュラトリーサイエンス学会学術大会(令和4年9月9、10日開催)の会期中、社員総会に引き続き開催された理事会におきまして理事長に推挙され、豊島聰前理事長の後任として本学会の運営に携わらせて頂くこととなりました。
本学会は、「科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に、根拠に基づく的確な予測、評価、判断を行い、科学技術の成果を人と社会との調和の上で最も望ましい姿に調整するための科学(第4次科学技術基本計画)」と位置付けられるレギュラトリーサイエンス研究の進歩及び普及を目的として平成22年に設立され、産学官の専門家が対等の立場でその学術の進歩と普及を図ることを定款に謳って、研究室レベルから国際調和迄幅広い視座のもとに科学技術の所産の社会還元に取り組んできました。例えば、医薬品、医療機器の開発研究・実用化の分野では、本学会の活動は、薬機法改正などの法整備、規制当局によるガイドラインの整備、或いは医薬品医療機器総合機構(PMDA)や日本医療研究開発機構(AMED) における薬事戦略相談などの充実や開発研究の促進などの形で大きな具体的成果を挙げ、新しい医薬品モダリティーの導入にも大きな貢献を果たしています。さらに近年のCovid-19禍の環境下においては、ワクチンや治療薬の開発・認可が人々の大きな注目を集める中で、本学会の活動はその社会的意義を一層高めています。
一方、医療や健康或いは食生活に関わる諸問題を対象とする医学、薬学、医療工学、或いは食品科学などの分野を大きく“人間科学”という言葉で纏めますと、ここにおいてレギュラトリーサイエンスはそれぞれの学問分野全体の“基本構造“や”展開ロジック“としても位置付けられます。即ち、レギュラトリーサイエンスは特化された先端研究としてだけではなく、多くの学問分野において普遍的意味言い換えれば広い裾野を持つサイエンスとしても大きな役割を果たしており、第12回学術大会のテーマ「レギュラトリーサイエンスを担う人材の育成」もこうした視点を広く踏まえて設定されました。
今後は以上の議論を踏まえ、さらに学会活動を発展させて、我が国だけでなく国際社会においてもレギュラトリーサイエンスの振興をはかり、人類社会に貢献していきたいと考えております。会員の皆様におかれましては、本学会の活動に一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。